大判例

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最高裁判所第二小法廷 昭和36(オ)478 判決

主 文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理 由

上告代理人和田栄重の上告理由第一点について。

(一)裁判所は、証拠の取捨につき逐一その理由を判示する必要はないから、原

判決の理由不備をいう所論(一)は理由がない。

(二)原審は、被上告人は上告人から五〇万円を受領したが、なお原判示二三万

円の貸金および七万円の貸金合計三〇万円が残存する計算となつていたので、上告

人に対し、「五〇万円受け取つた。別に残金三〇万円ある」旨記載した仮領收証を

作成して交付するとともに、原判示の別途貸金五万円の貸金証書を返還し、前示二

三万円の貸金に関する本件公正証書と七万円の貸金証書とを上告人に渡さず持ち帰

つたが、これに対し、上告人はなにもいわなかつたとの事実を確定しているのであ

り、右判示は、用語不十分のきらいはあるけれども、上告人のした五〇万円の給付

を叙上三口の貸金に対する利息と前示五万円の貸金元本との合計五〇万円の債権の

弁済に充当することにつき、民法四八八条二項に基づく債権者たる被上告人の指定

の意思表示、もしくは当事者の合意が黙示的になされた旨判断した趣旨に解しえら

れなくはない。されば、原判決には所論(二)のような違法があるとはいえない。

同第二、第三点について。

上告人が被上告人に対し五〇万円を交付した日時・場所に関する原審の認定その

他所論引用の原審の各認定は、原判決挙示の証拠により、首肯できる。所論は、畢

竟、原審の専権に属する証拠の取捨判断ならびに事実の認定を非難するものであり、

採用できない。

よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のと

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おり判決する。

最高裁判所第二小法廷

裁判長裁判官 藤 田 八 郎

裁判官 河 村 大 助

裁判官 奥 野 健 一

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